ペパボ成長の鍵はminne。来年には赤字回復、近い将来営業利益の主要部分を占めるようになる。
誰でも手軽にハンドメイド作品を売買できるハンドメイドマーケット「minne」。
そんな「minne」ですが、実は赤字真っ最中でそれを運営している「株式会社ペパボ」の利益率を下げている要因でもあります。では、これから足を引っ張っていく存在となるのでしょうか。 いえ、そうではなく、これこそが成長の鍵となるのです。
まず、、
ペパボ全体では、抑えるべき広告費は1091→952で減少、増収すべきものは、売上高+154増、営業利益+291増と、上昇傾向にあります。
しかし、ここで注目すべきは傾向ではなく実際の数値です。
売上総利益2017 1Q 1069
営業利益 2017 1Q 117
と、総利益の約10%しか営業利益になっていないことがわかります。
視覚的に見ても、売上と営業利益に大きなギャップがあることがわかります。
そもそも2015-2016に関しては、 ギャップどころか営業利益がマイナス、つまり赤字になっています。なぜここまで利益率が低いのでしょうか。ここで詳しく事業内容を見ていきたいと思います。
ギャップ の理由
営業利益のグラフを見れば 一目瞭然だと思います。ペパボでは色々な事業を行なっているのですが、その中でも1つだけ異彩を放っているのが「ハンドメイド事業minnne」です。他の事業は基本的に黒字であるにも関わらず、ハンドメイド事業のみ大幅な赤字となっています。
逆に言えば、minnneの赤字を他の多様な事業で補っている、という感じになります。
では、このminnneがこれからも赤字を出し続けるのでしょうか。そもそもなぜペパボはminnneを継続しているのでしょうか。
それは、このminneが大いなる可能性を秘めたサービス、つまり成長の鍵であるからです。
minnneが成長の鍵である
そもそも、ペパボはminneをやめるどころか期待をかけて投資を続けています。
2015年5月には同じハンドメイドマーケットサービスである「tetote 」を買収しました。
また、広告費2017 1Q 302百万に対して、minneの広告費は230百万、つまり広告費の約2/3はminnneにかけているのです。
では、そんなminnneについて詳しくみていきたいと思います。
基本的に赤字のハンドメイド事業ですが、それが横ばいしているというわけではありません。
営業利益2016 1Q〜2017 1Q→−395〜−194
と、一年で+201百万の増収になっています。
また、作家数・作品数共に順調な増加傾向にあります。
DL数に関しても、前年同期末比32.7%増の719万件、流通額に関しても前年同期末比23.6%増の24.3億円と、比較的順調です。
また、作家数37万人というのは業界No.1であり、No.3のtetoteを買収しているので市場シェア率は著しく高いことがわかります。
では、このハンドメイド事業がどれほど全体の利益に関わっているのでしょうか。
営業利益2016 1Q〜2017 1Q→−174〜+117=+291百万
ハンドメイド事業営業利益2016 1Q〜2017 1Q→−395〜−194=+201百万
このように、営業利益の増収の約70%はハンドメイド事業によるものになります。
また、広告費に関しても、
全体2016 1Q〜2017 1Q→517〜302=−219百万
ハンドメイド事業2016 1Q〜2017 1Q→439〜232=−207百万
と、広告費の減少の9割以上がハンドメイド事業によるものになります。
つまり、ハンドメイド事業の利益が上がれば上がるほど全体の利益も大きく上がり、
広告費を抑えれば抑えるほど全体の広告費も抑えることができる、より密接に連動した歯車的関係であると言えます。
ハンドメイド事業の増収は他の事業に比べてより潤沢な潤滑油となって歯車を回すのです。
このように、ペパボの利益を左右するのはハンドメイド事業(minnne)だといえます。
現在営業利益約−200百万でこの一年で約200百万の増収があったわけですから、来年にはハンドメイド事業の赤字は回復していると考えられます。
まだデータが少ないのでこれからどのような右肩上がりの曲線を描いていくかわかりませんが、ハンドメイド事業が密接に関わっていることやペパボのハンドメイド事業への熱の入れ方を見るに近い将来営業利益を大半を占める主要事業へと成長していくのではないでしょうか。